今回は、既存のFRP防水に色あせや表面劣化が見られたベランダの施工事例をご紹介します。
FRP防水とは、ガラス繊維と樹脂を組み合わせて防水層をつくる工法です。今回は表面だけを整えるのではなく、防水基材を新たに敷設し、樹脂層から仕上げまで施工しました。
実際の施工写真とともに、現役防水職人のTAKAが工程ごとの目的を分かりやすく解説します。
施工概要
- 施工箇所: ベランダ
- 既存防水: FRP防水
- 施工内容: 再防水
- 劣化症状: 色あせ・表面劣化
- 施工期間: 1日
- 施工者: TAKA
施工前の状態

施工前は、ベランダ床面全体に色あせと表面の経年劣化が確認できました。
FRP防水は、防水層そのものの上にトップコートと呼ばれる保護層を施工して仕上げるのが一般的です。この表面が紫外線や雨風によって少しずつ傷んでいくと、艶がなくなったり、色が薄くなったりしてきます。
今回の写真では、大きく防水層が破断しているような状態は確認できませんが、表面には劣化が進んでいる部分が見られました。
こうした状態を長期間放置すると、表面の保護機能が低下し、その下にあるFRP防水層にも負担がかかりやすくなります。
すぐに雨漏りするという意味ではありませんが、防水層そのものが傷む前に適切なメンテナンスを行うことが大切です。
今回行った施工内容
工程1 アセトン拭き

既存FRP防水の表面をアセトンで拭いていきます。
アセトンはFRP防水工事で使用する溶剤のひとつで、施工面に残っている汚れや油分などを除去し、次に施工する材料が密着しやすい状態に整えるために使用します。
FRP防水では、仕上がりだけでなく新しい防水層と既存下地の密着性を確保することが重要です。
工程2 掃き掃除・ケレン

施工面を掃き掃除し、ケレン作業を行います。
ケレンとは、既存表面の汚れや脆弱な部分を除去したり、表面を整えたりする下地処理です。
防水工事では、その上にどれだけ良い材料を施工しても、下地にゴミや密着不良の原因が残っていると十分な性能を発揮できません。
そのため、防水材を施工する前の下地づくりは非常に重要な工程になります。
工程3 防水基材敷設

下地処理後、防水基材をベランダ床面に敷設しました。
写真では、床面から立ち上がり部分まで白い防水基材が施工されている状態を確認できます。
FRP防水は、樹脂だけではなく、こうした基材と樹脂を一体化させることで防水層を形成します。
特に床面と立ち上がりの取り合い部分は水の影響を受けやすいため、隙間や浮きが出ないよう納まりを確認しながら施工することが大切です。
工程4 樹脂1回目

敷設した防水基材に樹脂を施工していきます。
写真では、基材に樹脂が含浸し、透明感のあるFRP防水層が形成されている様子が確認できます。
この工程では、基材と樹脂をしっかり一体化させることが重要です。
基材だけを敷いても防水層にはならないため、樹脂をなじませて一体化させることでFRP防水層を形成していきます。
工程5 樹脂2回目

続いて樹脂の2回目を施工します。
写真では、床面だけでなく立ち上がり部分まで樹脂施工が進んでいることが確認できます。
一度施工した部分の状態を確認しながら、FRP防水層を形成していく工程です。
特にベランダでは平場だけを見るのではなく、壁際やサッシ周辺、立ち上がり部分まで一体として施工状態を確認することが重要になります。
工程6 中塗り(トナー入り)

FRP防水層を形成したあと、中塗りを施工しました。
施工写真の黒板には「中塗りトナー入り」と記録されています。
この段階になると、ガラス繊維が見えていた状態から、ベランダ全体が均一な色へと整ってきます。
防水層を形成しただけで終わらせず、最終的なトップコート施工につなげるための下地を整えていく工程です。
工程7 トップコート

最後にトップコートを施工します。
トップコートは、FRP防水層の表面を保護するための仕上げ層です。
FRP防水層を直接露出させるのではなく、表面をトップコートで覆うことで、紫外線や日常的な歩行などによる影響から防水層を守ります。
今回はグレー系の仕上がりとなり、床面から立ち上がり部分まで連続した防水面に仕上げました。
施工後

施工完了後は、施工前に見られた色あせや表面の劣化感がなくなり、ベランダ全体が均一なグレーの仕上がりになりました。
今回は表面の見た目だけを整えたのではなく、防水基材の敷設から樹脂施工、中塗り、トップコートまで施工しています。
ベランダ防水では、きれいに見えることも大切ですが、それ以上に床面・立ち上がり・サッシ周辺などが連続した防水層として施工されていることが重要です。
今後も定期的に表面の状態を確認しておくことで、次回のメンテナンス時期を判断しやすくなります。
Before・After比較

Before

After
| 比較項目 | 施工前 | 施工後 |
|---|---|---|
| 見た目 | 色あせや表面劣化が見られる状態 | 均一なグレーに仕上がった状態 |
| 防水性能 | 既存FRP防水が経年劣化している状態 | 防水基材・樹脂による防水層を新たに施工 |
| 耐久性 | 表面保護層の劣化が進行 | トップコートまで施工し防水層表面を保護 |
今回の施工で職人として注意したポイント
今回、私が特に気をつけたのは、下地処理と防水基材を施工したあとの樹脂工程です。
FRP防水は、完成すると表面がきれいに見えるので、どうしても最後のトップコートに目が行きます。ただ、職人として重要だと考えているのは、その下に隠れてしまう部分です。
既存面に汚れや密着を妨げるものが残っていないかを確認し、ケレンやアセトン拭きで施工面を整えてから次の工程へ進めます。
また、防水基材を敷いたあとは、床だけでなく立ち上がり部分まで状態を確認しながら樹脂を施工しました。
写真のような細長いベランダは、サッシや壁、排水まわりなど取り合い部分が多いため、平場だけきれいに仕上げればよいわけではありません。
完成すると見えなくなる部分だからこそ、途中の工程を丁寧に確認しながら進めることを大切にしています。
同じような症状がある場合
ベランダの色が以前より薄くなった、艶がなくなった、表面がザラついてきたという場合は、FRP防水の表面が劣化している可能性があります。
ただし、トップコートの塗り替えだけで対応できるのか、防水層から施工した方がよいのかは、現在の状態によって変わります。
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「トップコートだけで大丈夫なのか」「防水層からやり直した方がよいのか分からない」という段階でも問題ありません。
現在のベランダの状態を確認したうえで、必要な工事内容を整理してご案内します。

